薬草茶の基本 ― 採取から乾燥、保存まで
庭先や道ばたで摘んだ葉を、自分の手で乾かし、一杯のお茶にする。薬草茶づくりは特別な道具がなくても始められる、いちばん身近な薬草の活用法です。とはいえ、摘む時期や乾かし方を誤ると、香りが飛んでしまったり、カビてしまったりと失敗もつきもの。この記事では、薬草茶づくりの基本の流れを、採取から乾燥、保存、淹れ方まで順を追って紹介します。
スポンサーリンク薬草茶とは
薬草茶とは、乾燥させた葉や花、根などを湯で浸出させて飲む飲みものの総称です。西洋では「ハーブティー」、東洋では「薬草茶」「茶外茶」などと呼ばれ、茶の木(チャノキ)の葉を使わない点が緑茶や紅茶との違いです。使う部位によって、適した採取時期や乾かし方が変わってきます。
| 主な使用部位 | 葉・花・果実・根・樹皮 |
|---|---|
| 採取に適した時期 | 葉は開花前、花は開ききる直前、根は地上部が枯れたあと |
| 乾燥方法 | 風通しのよい日陰での陰干しが基本 |
| 乾燥の目安 | 数日〜1週間ほど(素材や湿度による) |
| 保存期間の目安 | 半年〜1年(香りが薄れたら早めに使い切る) |
| 抽出の目安 | フレッシュ1〜3分、乾燥の花・葉3分、根など5分ほど蒸らす |
薬草茶にまつわる言い伝え
草木を煮出したり浸したりして飲む習慣は、洋の東西を問わず古くから伝わってきました。日本でもドクダミ茶やハブ茶、ハトムギ茶のように、家庭で摘んだ草を日干しにして常備薬代わりに飲む習わしが各地に残っています。ヨーロッパでも、修道院の庭で育てたハーブを煎じて薬とする「モナスタリー・ガーデン(修道院庭園)」の伝統があり、台所と薬箱がまだ分かれていなかった時代の知恵が薬草茶には詰まっています。
福島の里山でも、季節ごとに摘んだ野草を陰干しにして茶にする習わしが、祖父母の代から自然と受け継がれてきました。特別な道具立てがなくても、摘んで、乾かして、煎じるだけ。薬草茶は、暮らしのなかにいちばん溶け込みやすい薬草の活用法だと感じています。
まじないの中の薬草茶
グリーン・ウィッチと呼ばれる、台所や庭の身近な植物を用いるまじないの実践においても、茶(浸出液)は基本の技法のひとつとされています。植物を煮出したり浸したりして、その力を水に移す方法は「インフュージョン」と呼ばれ、飲むことでハーブの持つ力を体の内側に取り込む、という考え方に基づいています。
| 技法 | インフュージョン(浸出) |
|---|---|
| 考え方 | 植物の力を水に移し、飲むことで内側から取り込む |
| 関連する占い | ティーリーフ・リーディング(茶葉占い) |
まじないを行うときの心得は「ATELIER Onnが考えるおまじないとは」をご覧ください。
スポンサーリンク薬草茶づくりの手順
1. 採取
晴れた日の午前中、朝露が乾いたころに摘むのが基本です。葉は花が咲く前の、香りと成分が充実した時期に。花は咲ききる直前のつぼみが開きかけたころが目安です。根を使う場合は、地上部が枯れて養分が根に蓄えられる晩秋から初冬にかけてが適しています。摘んだあとは土や虫をやさしく払い、汚れがひどい場合のみさっと水洗いして、しっかり水気を切ります。
2. 乾燥
洗った場合はまず水気をよく拭き取ります。風通しのよい日陰に、重ならないようざるや紙の上に広げるか、束にして吊るして陰干しにします。直射日光に当てると色や香りが飛んでしまうため避けましょう。葉や花なら数日、根や樹皮など厚みのあるものは1週間〜10日ほどが目安です。パリッと乾いて、指で揉むと簡単に崩れる状態になれば乾燥完了です。
3. 保存
完全に乾燥したことを確認してから、光を通さない密閉容器(茶筒や遮光性の瓶)に入れ、湿気の少ない冷暗所で保存します。乾燥が不十分なまま密閉するとカビの原因になるため注意してください。
保存するときは、花・葉・根などをできるだけ刻まず、そのままの形で入れておくのがポイントです。細かくすると表面積が増え、酸化が進みやすくなってしまいます。また、密閉した瓶や袋であっても、乾燥剤を一緒に入れておくと湿気による劣化を防げます。保存期間の目安は半年〜1年ですが、香りが薄れてきたら早めに使い切るのがおすすめです。
4. 淹れ方
花や葉、根を細かく刻む・揉むといった作業は、淹れる直前に行うのが鉄則です。使う分だけをそのつど手で崩したり刻んだりすることで、香りや風味の新鮮さを保てます。ティーポットや急須に、崩した薬草をひとつまみ(ティースプーン1杯ほど)入れ、熱湯を注いで蓋をし、蒸らします。
蒸らす時間の目安は、素材によって変わります。フレッシュハーブ(生の葉や花)は1〜3分、乾燥させた花や葉は3分ほど、根など硬いものは5分ほどが目安です。硬いものはさらに煮出す「煎じ」の方法が向いています。好みに応じて濃さを調整してください。
まとめ
薬草茶づくりは、摘んで、乾かして、煎じるという、いたってシンプルな手しごとです。けれど時期を見極め、丁寧に乾かし、正しく保存するという一つひとつの工程に、昔から受け継がれてきた知恵が詰まっています。まずは身近な薬草を一種類、少量から試してみてください。慣れてくれば、季節ごとに摘んだ草木を自分だけのブレンドにしていく楽しみも広がります。
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参考文献:
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レスリー・ブレンネス著、英国ナショナルトラスト協会監修、槇島みどり訳『ハーブ図鑑110 栽培と利用法の実践ガイド』
スコット・カニンガム著、木村正典監修、塩野未佳訳『願いを叶える魔法のハーブ事典』パンローリング、2014年
アン・モウラ『グリーン・ウィッチ』